概要
数秘術とは、生年月日と名前(アルファベット)から人生の全体運勢傾向や宿命的なものを占う方法である。
発祥の歴史は古く、古代ギリシャのピタゴラスが創始者ではないかと言われている。
その後の長い歴史の中で、ユダヤ教から派生したカバラなどオカルトにも引き継がれ、お互いに影響し合いながら今日の数秘術の姿となっているようだ。
長い歴史から、難しくて深淵なイメージがあるが、基本的に占いの結果は1から9の1桁の数字(11,22,33など特殊なものもある)の10数パターンに集約するため極めてシンプルでわかりやすい。
ここでは、「数秘術」を、姓名判断と比較しながら検証してみようと思う。
現状
数秘術の数字の算出方法のイメージは以下の通り。
生年月日(西暦方式)の数字を足していき、1つの数字になるまで繰り返す。例)1998/04/01 → 1+9+9+8+0+4+0+1=32 → 3+2=5
名前のアルファベットを数字に置き換えて、同様に数字を足していき、1つの数字になるまで繰り返す。
こうして求めた数字は、誕生数とか運命数というらしい(1桁の数字は数字の元素という思想による)
ただし、(11,22,33)は2桁の数字だが特殊な数字として扱っている。
このように、個人情報を数字化して占う方法は、まさに姓名判断の画数で占う方法に通じるものがある。
ちなみに、名前はアルファベット表記のため、ローマ字に変換する必要がある漢字名には不向きな占いではある。
理由は、ヘボン式表記で数値が変わったり、日本人の名前は母音(A、I、U、E、O)のアルファベットが多く出てくるためだ。
例えば、たなか(TANAKA)たろう(TARO)という名前のように”A”の数が多く、西洋人の名前ではあまりないパターンの占い結果に偏る傾向がある。
ヘボン式表記の例としては、いしだは(ISHIDA) か (ISIDA)によって数値が変わるがどちらが正しいのかよくわからないのだ。
次に、一般的*1な数秘術の特徴として、
占いの結果は、基本的に10数パターンのいずれかに該当すため、占いの結果は多様な解釈ができる象徴的、暗示的なものが多いのが特徴だ。
*1)年月日や名前の一部の数字を組み合わせによって多くのバリエーションの答えを持つ数秘術もある。
個人の例で恐縮だが、自分の数字に該当する性格を読んで当たっていると感心した。
その後、自分の数字の計算ミスに気づき、別の数字の性格に該当していたが、そこを読んでも当たっているように感じたのだ。
3つめに、姓名判断と同様に、未来予測には向いていない。
そのわかりやすい理由は、数秘術は命名後は一生のうち、いつ占っても同じ結果になるということ。
子供のときも、老後のときに占っても同じ結果となるのでは、未来予測が苦手なのは当然だ。
ただし、女性が結婚して姓が変わったときは占いの結果も変わるが、そう度々あるものではない。
4つめに、姓名判断と異なる点もあげておく。
- 基本的に悪い数字という概念はない。それぞれ個性を持つという考え方である(姓名判断の画数は原則吉兆どちらかに属する)だから、悪い結果とならない数秘術は安心して占うことができる。
- 西洋の宗教の影響のため、宗教的な表現、内容の傾向が強い(姓名判断には宗教色がほとんどない)
事実
数秘術は、名前をアルファベットで数字化するため、日本人にはあまり浸透していない。
当然ながら、数秘術で赤ちゃんの名前を決めることはできない。
ただし、生年月日(西暦)は日本では抵抗がないため、その点で数秘術は手軽な占いと言える。
数秘術は、占いの結果のバリエーションが限られているため象徴的なことしかわからない。
すなわち、いつどこで何が起こるかといったような具体的な情報は得られない。
仮説
数秘術は、占いというよりは数字の象徴的な内容で人を安心させる暗示術かも知れない。
「あなたは、大いなる天使たちにいつも見守られている存在です」というような感じだ。
数秘術の占い結果は10数通りと少ないが、その象徴的な内容のため占う人が受ける印象の数だけ異なる占い結果が出るという見方もある。
数秘術が西洋文化でどのように受け入れられているか正直私は知らない。
ただ、姓名判断が日本では庶民的文化として愛用されているように、生年月日と名前で手軽に占える数秘術も西洋では広く親しまれているのではないかと推測する。
少なくとも数秘術で何か被害を被ったという話は聞いたことがない。無害な占いではないだろうか。
数秘術ファンは、今まで通り愛用すればよいと思う。
ただし、ピタゴラス先生には申し訳ないが、数秘術は占いとしては人類にあまり貢献していないようだ。
それより、三平方の定理(ピタゴラスの定理)のほうがよほど人類に恩恵をもたらしている。
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